いきいき生活:てんかんとともに
やじまクリニック小児神経外来 矢島邦夫
てんかんはなぜ起こる ?
脳は、網目のように連結したたくさんの神経細胞の複雑な活動により、うまくバランス
を保ち働いています。何らかの原因で脳の働きが不安定になり、この神経細胞の興奮と抑
制の調節機構の乱れが起こると、ここから突然の異常な放電現象が起こり、脳の正常な働
きを一時的に乱してしまい、けいれんや意識の喪失などをひき起こします。これは”突然
のカミナリを伴った夏の夕だち”にたとえられます。人は誰でもげいれんを起こす素質を
持っていますが、普段はけいれんを誘発する脳の調節機構の乱れ(発熱、過労、睡眠不足
薬剤などにより増悪)を抑制する機構(安定した脳の発達とともに強化)が十分に働いて
いてけいれんを起こしません。何らかの原因で、脳の働きが不安定になると、この抑制の
機構が十分でなく容易にけいれんや意識の喪失などを起こします。
どうして脳の働きが不安定になるのか?
複雑な機能を持つ脳は、いろいろな原因により障害を受け、容易に働きが不安定になり
ます。脳は、生涯発達し続けておりますが、障害の部位や程度により種々の症状が現れま
す。これは発達障害と呼ばれます。このような発達の障害を持つ人たちと接するときには、
しばしば強く目立つ症状にのみ目を奪われて、その人にとって本当に必要なことを見逃し
ていることがあります。障害を克服し症状を少しでも軽くするためには、出来ること出来
ないことをよく把握して、毎日の積極的で楽しい活動を通して脳の働きが安定し、脳発達
が促進するように、日常生活の手助けをすることが大切です。
発達障害はなぜ起こるのか?
不明のことも多いが、障害を受ける時期によりいろいろな原因がみられます。
a.出生前(受精から胎児):遺伝子異常(先天性代謝異常)、染色体異常(ダウン症候群)、
胎内感染(風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ)、母体の疾患(糖尿病、甲状腺疾患)。
b.周生期(出生から新生児期):重症仮死、新生児期髄膜炎、新生児頭蓋内出血
※周産期とも言い、出生後1週間の時期のこと。
c.後天性(乳児期以降):急性脳炎や脳症後遺症、事故による頭部外傷後遺症。
発達障害の証嬢のいろいろ
障害を受けた部位や、機能の不安定な部位によりいろいろな症状を見ます。
・運動障害 :運動麻痺、筋緊張障害、運動失調、不随意連動。(脳性麻底)
・知的障害 :精神遅滞、精神退行。
・てんかん(症候性てんかん):部分発作、全般発作
・認知・学習の障害 :多動症候群(注意欠陥障害)、学習障害、行動・社会性の障害、自閉症。
・精神の障害 :過呼吸症候群、拒食症、ヒステリーなど。
・自律神経系異常 :便秘症、気管支喘息、起立性調節障害、体温の異常、睡眠の乱れ。
・ホルモン内分泌異常:痩せや肥満、低身長、夜尿症、思春期早発など。
・内臓器官の異常 :呼吸や循環の異常、筋肉や骨の障害、胃腸の障害、皮膚の障害。